2017年3月3日金曜日

311以後の異常事態をただす必要が、この国を正気に戻す必要がある。それが抵抗権の実行であり、生きることそのものである」(2017.3.3)

広瀬隆さんが、脱被ばく実現ネット主催の3.4新宿デモに、以下のメッセージを寄せてくれた。
これは、普通、人がデモに寄せるメッセージではない。彼の全存在を賭けて、信念を吐露した、生死をかけた思いが込められた呼びかけだ。
今の私にとって、彼が呼びかける抵抗権実行とは、この国を正気に戻す第一歩となるチェルノブイリ法日本版を市民主導で実現することである。

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3月4日の「子どもを被ばくから守ろう! 住宅補償の継続を!」求める新宿デモに参加されているすべてのみなさまへ、 
 そして、私のように当日参加できないけれど同じ思いを共有されているみなさまへ
                                              
 東京の広瀬隆です。

 私たちは、一人ずつ、全員がみな違う個性と、体験と、知識と、知恵を持っています。しかしこの一見異なる私たち一人ずつではありますが、ひとつの共通の意思があります。「子どもを被ばくから守ろう! 住宅補償の継続を!」と強く求める、絶対に揺るがない強烈な意思です。

 デモ主催者の柳原さんが呼びかけているように、私たちには、抵抗権、すなわち不条理な出来事に対してレジスタンスをおこなう権利があります。それこそが、私たちの人間の人間たる所以(ゆえん)です。
 この抵抗権というものは、もともと私たちの現在の生活を守っている、この日本国憲法の土台になっている思想です。なぜなら一九四五年の日本敗戦後に、日本国憲法をつくったのは、マッカーサー率いる占領軍のGHQではなく、鈴木安蔵(やすぞう)という先駆者を中心とした七人の日本人の憲法研究会でした。マッカーサーたちは、この憲法研究会が明記した憲法草案を翻訳して、それをもとに日本国憲法を生み出したのです。
 断っておきますが、鈴木安蔵は、福島県小高町(おだかまち)に生まれた人で、そこは、こともあろうに、フクシマ原発事故によって放射能で大汚染された現在の南相馬市小高区なのです。現在では、子供たちを避難させるべき土地に生まれ育ったこの人が、七二年後の今の私たちの置かれている立場を予言していたのです。奇蹟のような巡り合わせだと思いませんか?
 彼が、憲法の歴史を調べるうちに、明治初めに高知県で自由人権運動が興った時代に、植木枝盛(うえきえもり)たちの先覚者が、人間の権利は主権在民にある、という憲法を主張して、人民の「抵抗権」や「革命権」まで明記していたことを知ったことから、現在の日本国憲法の土台を築いてくれました。鈴木安蔵は、治安維持法で二度も投獄された人です。にもかかわらず、私たちがこうしてデモを実施できるのは、彼のおかげなのです。

 あらゆる壁を乗り越えて、何としても、「子どもを被ばくから守り、三月で打ち切られようとしている住宅補償を継続させる当然の権利を」すべての人に要求しましょう。日本国憲法を守れ、と叫び続けましょう。そのためにこそ、私たち一人ずつ、全員が持っている、違う個性と、体験と、知識と、知恵を活かしてゆきましょう。心からお願いします。