2020年9月10日木曜日

【山下・鈴木証人尋問15】3月4日の山下証人尋問の実施

2013年3月15日福島民報

動画(クリックすると再生)
法廷で上映された事故後の山下氏の発言(抜粋)

第50回日本甲状腺外科学会市民公開講座で座長を務める山下俊一氏(2017年10月、福島市)撮影:和田真(Ourplanet2020.3.6の投稿記事より)

2020年3月4日、子ども脱被ばく裁判のメインテーマの1つ「311直後の山下発言の違法性」問題の主役=張本人である山下俊一福島県放射線健康リスク管理アドバイザー(当時)の証人尋問を、福島地裁の公開の大法廷で実施した。

彼については、言いたいこと、書きたいことが山のようにある。ここでは当日の尋問の記録(調書)の冒頭と全文及び彼が主尋問でまるごと読みながら証言した証拠(丙B12)、尋問当日まで検討し続けた311直後の山下氏の行動記録という彼の個人史を紹介する。

・尋問の記録(証人調書)全文のPDF->こちら
冒頭頁
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear3/200304Yamashita-testimony.pdf

・ 主尋問で山下氏が使用した書証(丙B12)の冒頭 全文のPDF->こちら

http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear3/HeiB12.pdf

・311直後の山下氏の行動年表(個人史)の検証資料

【山下・鈴木証人尋問14】2月14日の鈴木証人尋問の実施

        尋問を終え、裁判所から出た直後の鈴木眞一氏(Ourplanet2020.2.15投稿記事より) 

2020年2月14日、「予定通り」、福島地裁の公開の大法廷で、鈴木眞一県立医大教授の証人尋問が実施された。
「予定通り」というのは、この「予定通り」の証人尋問に猛反対する被告国及び福島県から、彼の証人尋問実現を阻止するために、以下の通り、考えられる限りの主張の全てが繰り出され、裁判所はそれらの全てを斥けて、晴れて「予定通り」の証人尋問が実現したからだった。

・そもそも鈴木氏の尋問は、本裁判の訴状に一行も登場しない「経過観察問題」に端を発したもので、本裁判の請求(立証の命題)との関係で「関連性」がなく、尋問の必要がない。
・原告が申請した尋問事項は、鈴木氏の論文(乙B46)を取り調べるなど他の方法で立証すべきであり、鈴木氏の証人審問ですべきではない。
・ 仮に尋問を実施するとしても、大学の授業及び大学付属病院の診察のほか学会等で多忙を極める鈴木氏の場合、書面尋問()の方法によるべきである。
・ 仮に書面尋問が却下の場合でも、多忙を極める鈴木氏の日程調整のため、公開の法廷ではなく、非公開の職場(県立医大)で出張尋問(民訴法195条)の方法で実施すべきである。

)書面尋問:証人の尋問をやらずに、書面による質問に対し書面で回答する尋問の方法(民訴法205条)。反対尋問の機会が保障されないため、当事者に異議があれば行うことはできない。

この日の尋問の記録(調書)の全文と冒頭、並びに原告弁護団の当日の尋問案とタイムテーブルは以下の通り。

・記録(調書)の全文のPDF->こちら
冒頭

http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear3/200214Suzuki-testimony.pdf

・当日の尋問案の冒頭 (尋問案の全文のPDF->こちら)

 ・当日のタイムテーブル


【山下・鈴木証人尋問13】3月4日の山下証人尋問の間際に、追加としてクライシスコミュニケーション論と彼の業績一覧の文書が提出

山下俊一発言問題、証人採否をめぐる過去の記事は->こちら

山下俊一証人
 3.11から12日目の記者会見。「僕たちはがんになりません、というのは保証できますか?」という外国人記者の質問に、
  「『絶対安心』ということは誰も言えない。しかし、『安心して下さい』とお願いできる。ここは大事です!」と答える山下俊一氏(映画'A2-B-C'(予告編)から)。


被告福島県は、裁判所と約束した当初の予定とおり、2020年2月12日付けで、3月4日に実施予定の山下証人尋問に必要な証拠を提出した(その詳細は->こちら)。にもかかわらず、その後さらに、尋問間際の2月27日になって、クライシスコミュニケーションを語る彼の持論の文書と彼の業績一覧を示す文書を以下の通り提出してきた。

証人尋問が間近に迫るにつれ、クライシス(危機感)が深まり、提出済みのクライシスコミュニケーションの証拠では不安!証人尋問の時に安心して使えるものをと追加したと推測される。
こういう行き当たりばったりのやり方こそ、彼のクライシスコミュニケーション論に相応しい。


 ここでは、山下氏の業績一覧を示す文書(丙B13)を紹介する(そのPDFは->こちら)。

かつて、アインシュタインと共同研究を行った弟子のインフェルトは、アインシュタインの研究室で、彼のノーベル賞の賞状が、箱の中に、その他たくさんの賞状と一緒に無造作にゴチャゴチャと入れられていたことを目撃している(「アインシュタインの世界」209頁)。
真の研究者とはこういう人を言うのだろう。それは、一事たりとも漏らさず書き出し、自分の業績を人々に示そうという根性丸出しのこの業績一覧と好対照をなしている。

【山下・鈴木証人尋問12】3月4日の山下証人尋問を前に彼の意見書その他弁明の文書が提出

山下俊一発言問題、証人採否をめぐる過去の記事は->こちら

山下俊一証人
 3.11から12日目の記者会見。「僕たちはがんになりません、というのは保証できますか?」という外国人記者の質問に、
  「『絶対安心』ということは誰も言えない。しかし、『安心して下さい』とお願いできる。ここは大事です!」と答える山下俊一氏(映画'A2-B-C'(予告編)から)。


2020年3月4日に実施予定の山下証人尋問を前に、以下の通り、被告福島県より、2月12日付で山下俊一氏の意見書、彼の弟子である高村昇長崎大教授の文書その他山下発言の正当性を弁明する文書4点が提出。
このうち、山下俊一氏の意見書は以下の通り(そのPDFは->こちら)。

裁判では被告福島県よりまともな主張がなかった
311直後の山下発言はクライシス・コミュニケーションとして許容される
という新たな正当化理論が、ここでは大々的に展開されている。
そんなにコミュニケーションの重要性を説くのであれば、一体、被告福島県と山下俊一氏はこの間、どんなコミュニケーションを取ってきたのだろうか?



















【報告】【山下・鈴木証人尋問11】2019年10月23日付「鈴木証人対する質問項目一覧表」に対する鈴木証人の回答書が2020年1月27日に提出

お詫び
 2020年7月28日に、子ども脱被ばく裁判は双方から最終弁論を提出、この日で審理を終結した。それまでの間、鈴木眞一、山下俊一両名の証人尋問の実施、最終準備書面の作成に追われ、昨年12月19日の報告以来、投稿が途絶えてしまった。これをお詫びし、改めて、この間の出来事を時系列に沿って、報告する。

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2015年5月まで、 福島県の甲状腺検査の実施主体である福島県立医科大学の検査責任者だった
鈴木眞一氏

2019年10月1日の進行協議期日の席上、裁判所から鈴木眞一氏の証人尋問をめぐり以下の指摘がなされた。
・鈴木眞一氏を証人として採用する必要性・重要性は否定できない。
・ただし、普通に証人尋問をやっても真相解明に貢献する有益な尋問になるとは限らない。
・そこで、実りある尋問を実現するためにどういう工夫が必要か、裁判所がこの間検討してきた結果、事前に次のQ&Aを準備することを提案したい。
①.原告から、あらかじめ、鈴木氏に尋問する質問の一覧(これがQ&A)を書き出す。
②.それに基づいて、被告福島県は、鈴木氏の陳述書(これがQ&A)を提出。
③.このQ&Aに基づいて、本番の証人尋問を実施。
     ↓
これを受け、原告は 10月23日に、鈴木氏に尋問する質問の一覧書面を提出(その全文は->こちら)。
これに対し、被告福島県はそのてんこ盛りの質問一覧表に猛反発。 そもそも鈴木眞一氏を証人として採用する必要性はなく、それゆえ、彼の陳述書も作成する必要がなく、原告提出の質問項目一覧表にも答える必要がないというちゃぶ台返しの反論に出た(その書面は->こちら)。
     ↑
しかし、この反論も裁判所の支持を得ることはできず、 12月5日、鈴木氏の証人採用が正式に決定。
これを受け、裁判所は被告福島県に、上記②の作業、つまり「鈴木証人対する質問項目一覧表」に対する鈴木証人の回答書の作成を1月27日までに行なうことを指示。
     ↓
以下が、 1月27日に届いた鈴木眞一氏の回答書(そのPDFは->こちら)。
我々が想定した以上の詳細な回答だった、むろん様々な問題点も含んだ。