被告福島県と甲状腺検査の経過観察問題(2018.1.28)
◎【速報】【経過観察問題(4)】国破れて記憶あり、で症例数を隠ぺいする被告福島県にはこれを開示する説明責任がある(2018.4.13)
4月13日、子ども脱被ばく裁判で、原告より、甲状腺検査の経過観察問題で症例数を隠ぺいする被告福島県に対し、症例数を開示する説明責任があることを主張・立証する書面(準備書面52)を提出しました。
その後、4月25日の裁判で、裁判長から被告福島県に対し、この書面を検討するように指示が出されました。その検討結果が、6月29日に被告福島県から提出された、実質ペラ1枚の書面(準備書面15→末尾に掲載)です。
読むのに1分もかからない分量で、要約するまでもない薄っぺらのものですが、その内容はこれまでの主張のくり返しで、被告福島県は、
1、 『経過観察』中に『悪性ないし悪性疑い』が発見された症例の数は把握していない 。
2、 この症例数を把握すべき理由もない。
3、だから、前回の原告の書面(準備書面52)に対しても、これは原告の意見を述べるだけのものだから、説明責任があるか否かについて認否する必要がなく、応答しない。
しかし、3の「応答しない」は次の点で明らかにおかしい。
そもそもこの問題は次のことから始まった。昨年8月の口頭弁論当日、弁論に先立って開かれた進行協議の場で、原告代理人からの質問、
症例の数の把握について、被告福島県はこれを把握する義務があると考えているのか?
に対し、被告福島県の代理人曰く、
把握する義務はないと考えている。
と回答。ところが、そのすぐあとの公開法廷で、原告代理人が再び同じ質問をすると、今度は、被告福島県の代理人、先ほどの回答を翻して曰く、
把握する義務とは何を根拠とするのか明らかにしてほしい。その上で回答する、と。
↓
そこで、10月6日、原告から、被告福島県には症例数を把握する義務がある、その論拠を不作為不法行為の作為義務という観点から示した書面(準備書面43)を提出したところ、被告は、準備書面(13)において、不作為不法行為の一般論については「答弁不要」と認否しなかったが、不作為不法行為を本件に当てはめた作為義務の具体的な主張に対しては「否認」という認否をした(ただし、その否認の理由を一切示さない極めて不十分なものだった)。
そうだとしたら、前回、 原告から、被告福島県には症例数を把握する義務がある、その論拠を説明責任という観点から示した書面(準備書面52)を提出したのに対し、上記の準備書面(13)と同様、少なくとも、説明責任を本件に当てはめた具体的な主張に対して認否すべきである。
そこで、7月9日の弁論に先立って開かれた進行協議の場で、上記の被告福島県のちぐはぐさを指摘し、次回に原告より経過観察問題について集大成の主張を用意するから、そのためにも被告福島県は直ちに認否するように求めたところ、裁判所から被告福島県に対し、「これを次回までに検討するように」とだけ指示が出るにとどまった(そんなんじゃ、集大成の書面が書けるわけないだろう)。
そこで、そのあとの公開法廷の場で、原告代理人より被告福島県に対し、
「いわゆる経過観察問題をめぐっては昨年5月から1年以上議論が続いていて、次回に原告から集大成の主張をする予定でいる。しかし、先ほどの進行協議では議論が噛み合わなかったので、次回準備のために1つだけ確認しておきたいことがある。それは、
『県民の命、健康を守ることを重要な使命とする福島県は、甲状腺検査において、小児甲状腺がんとなった子どもの数を県民に説明する責任がある』 と考えるのかどうか」
これに対し、被告福島県の代理人は、
「だから、その問題は前から言っている通り、その責任が何を根拠とするのか明らかにして欲しいと言っている」
と答えたので、原告代理人から、
「そんな質問はとっくに承知している。だから、既に、それに対する回答もしている。今回も、その責任の根拠を示す準備書面52を出しているのだから、被告福島県は答えるべきである」
この問いは単純明快であり、イエスかノーしかない。しかし、不可解なことに被告福島県は頑として答えようとしなかった。
被告福島県が答えることを頑なに拒んでいるので、裁判所が割って間に入り、「これも次回までに検討するように」と被告福島県を救済する指揮をとった。
被告福島県は、この経過観察問題で、
1、 『経過観察』中に『悪性ないし悪性疑い』が発見された症例の数は把握していないと主張し、 2、この症例数を把握すべき理由もないと主張しているのだから、
3、 甲状腺検査において、小児甲状腺がんとなった子どもの数を県民に説明する責任はない、
とするのが首尾一貫している。
しかし、彼らは自分たちがやっていることが国民主権=説明責任との関係でどんな帰結に至るのか、これまで十分に考えたことがなかったらしく、いざ、その問いを投げつけられてみて、自分たちの正体を思い知った時、己の姿を市民の前にさらすのを狼狽しているようだった。それが9日の法廷で、原告代理人からの問いに対して、イエスともノーとも答えられない回答不能の姿だった。
9日の法廷での不可解な出来事から、図らずも次のことが浮き彫りとなった。
--『経過観察』中に『悪性ないし悪性疑い』が発見された症例の数は、福島県は国民主権=説明責任すら背を向けた独裁自治体といった、どんな非難を浴びようが、そんなことでは決して明らかに出来ない、徹頭徹尾、闇の中に閉じ込めて置かなければならない真実だということです。それくらい、ここには不都合な真実が込められているということです。
以下が、そのことを示した、今回の被告福島県の準備書面(15)です。そのPDF->こちら
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