2021年3月3日水曜日

【速報2】311直後の山下俊一氏の発言を「科学的知見を一般の参加者向けに平易に説明したもの」と認定した判決(2021.3.2)

               311直後に長崎から福島入りした山下俊一氏

 3.11から12日目の記者会見。「僕たちはがんになりません、というのは保証できますか?」という外国人記者の質問に、
  「『絶対安心』ということは誰も言えない。しかし、『安心して下さい』とお願いできる。ここは大事です!」と答える山下俊一氏(映画'A2-B-C'(予告編)から)。

現在、 子ども脱被ばく裁判の弁護団は、3月1日に言渡された判決の詳細な検討の途中です。さしあたり、311直後の福島での山下俊一氏の発言(以下、山下発言と略称)問題の担当の原告代理人(柳原)から、山下発言に関する判決の箇所で印象に残ったことをコメントしました。 

山下発言に関する判決要旨の該当部分(2頁)->こちら

山下発言に関する判決本文の該当部分(12頁)->こちら

山下発言に関する原告主張->解説と主張書面(準備書面(5)の山下発言問題部分 準備書面(60)

判決言渡しのあと配布された判決要旨に、山下発言を、
科学的知見を一般の参加者向けに平易に説明したもの》(判決要旨15頁)
と評価したのを読み、一体どうやったらそんな手品みたいなことができるのか、ビックリ仰天した。

そのあと、判決の本文を一読して気がついたことは、100ミリシーベルト以下の健康影響に関する山下発言(判決では本件山下発言①)について、裁判の審理の中で原告は、
2011年5月3日二本松市講演で、山下氏が
何度もお話しますように、100ミリシーベルト以下では明らかに発ガンリスクは起こりません。
と発言したことの問題を取り上げ、それが科学的知見から逸脱していると主張した(準備書面(60)12頁)。
これに対し、判決は、この山下発言に関する原告主張を正確に引用せず、、
100ミリシーベルト/年以下までの被ばくであれば発がんリスクはない旨の発言(5月3日二本松市講演)》(194頁(1))
とぼかした上で、さらに、原告が主張するこの山下発言を次のように修正して取り上げた。
100ミリシーベルト以下では明らかな発ガンリスクは起こりません。分からないんですね》(197頁(5)ア)
    ↓
このように事実認定して、そこから、山下氏は、「100ミリシーベルト以下で健康影響があることは実証されていない」という見解に立っていると評価した(199頁(1)イ)。
    ↑
しかし、彼が二本松市で喋った内容はこれとはちがう。原告が主張したように、
何度もお話しますように、100ミリシーベルト以下では明らかに発ガンリスクは起こりません。

つまり、冒頭で「何度もお話しますように」と強調し、その上で言ったことは、
「100ミリシーベルト以下では明らかに発ガンリスクは起こりません。」
です。つまり、山下氏は「100ミリシーベルト以下では健康影響がないことが実証されている」という見解を明確に述べた。
しかし、裁判所は、事実認定にあたって、原告が引用した主張をぼかした上で、現実の山下発言を用意周到に、冒頭の「何度もお話しますように」を削り、その上で「明らかに発ガンリスクは起こりません。」という発言を「明らかな発ガンリスクは起こりません。」と念入りに書き換えた。
「明らかに発ガンリスクは起こりません。」と「明らかな発ガンリスクは起こりません。」の違いは明らか「に」と明らか「な」の一文字。しかし、意味はまったくちがってくる。それは「明らか」を副詞として使うのか、形容詞として使うのかの違いだ。
「明らか」を副詞として使う「明らかに発ガンリスクは起こりません。」は「発ガンリスクがないことが明らかである」という意味。しかし、「明らか」を形容詞として使う、「明らかな発ガンリスクは起こりません」だと、「明らかな発ガンリスクというものはない。しかし、《明らか》とは言えない程度の発ガンリスクについては分からない」という意味になり、ここから裁判所が認定しようと思っていた、山下氏は「100ミリシーベルト以下で健康影響があることは実証されていない」という見解に立っていることが引き出せる。
    ↑
だからこそ、この「明らかに」と「明らかな」の1文字のまちがいの重要性について、原告は審理の中で、裁判所に指摘していた。ゆめゆめ間違えることのないように、と
にもかかわらず、裁判所は、この警告を無視した。なぜなら、この点を正しく理解すると、自分が引き出したい評価ができなくなるから。そこで、この不都合な真実を原告の警告を無視して、ねじ曲げた。
これが判決のやり方だ。つまり、事実の認定を、自分が取りたい評価、結論を引き出せるように好きなように捻じ曲げ、捏造する。
「山下君、君がどんな暴言を吐こうが、どんなことをしようが、ボクたちが何としてでも、君を守ってあげるからね」と山下俊一氏の完璧なボディーガードを演じるために、ここまで手を染めるのか。これが判決に対するの私の第1印象だ。

原告は、山下氏が二本松市で「明らかな発ガンリスクは起こりません」とは発言していないことを裁判所が正しく理解するように、2018年10月5日の準備書面(60)で、次のように注意喚起した。

2015年9月7日付原告準備書面(5)第5に以下の誤記があったので、訂正する(下線部分が訂正箇所)。なお、2番目(40頁13行目)の訂正は、 なお、2番目(40頁13行目)の訂正は、山下アドバイザーの講演動画7を再生して、彼の発言内容を確認したものである。

7 OurPlanet-TV提供の動画前半7分30秒)

◆前半(講演)


 
◆後半(質疑応答)



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