この科学裁判は、上記の野外実験の中でディフェンシン耐性菌(詳細は->こちら)という前代未聞の耐性菌の出現により地球規模の生態系と人の健康に重
大、深刻な影響をもたらす危険があると国内外の研究者から警鐘が鳴らされた裁判だった。にもかかわらず、日本の裁判所は、コロナ災害における米国やブラジルの大統領と同様、経済最優先を採用し、この危険な野外実
験を容認した。
15年前、 ディフェンシン耐性菌の出現により地球規模で人の健康に重 大、深刻な影響をもたらす危険性があると警鐘を鳴らしたこの提訴は、当時の政府やバイオ関係者はもちろん裁判所からも、唐人の寝言、風評被害と揶揄されるか無視された。
それは、2011年3月11日まで、原発事故の桁違いの未曾有の危険性に警鐘を鳴らした志賀原発差止判決が、「日本の原発はチェルノブイリとはちがう」が口癖の、当時の政府や原発関係者はもちろん裁判所からも、唐人の寝言、風評被害と揶揄されるか無視されたのと一緒だった。
そして、311原発事故の出現で、彼らこそ安全神話のボケの中にいたことを、自分たちの先端科学技術が原発事故の放射能の前で無力であることを、放射能から避難するしかない現実を、頭から思い切り冷水を浴びせられた。
今、コロナ災害の出現で、ウイルスによる地球規模の健康被害が発生するという未曾有の現実を突きつけられて、過去のSARS、MERS災害から教訓を学んでワクチンを作ることもしなかった政府やバイオ関係者たちは、またしても、安全神話のボケの中にいたことを、自分たちの先端科学技術がコロナの前で無力であることを、コロナから避難するしかない事実を、頭から思い切り冷水を浴びせられている。
我々が作り上げてきたという先端科学技術というものは放射能やコロナの前で無力さをさらけ出す、その程度のものでしかなかったのか。私たちもまた、この事実を何度でも)頭に叩き込む必要がある。
そして、そこから次の問いに向かうべきだ。
だったら、今、もう一度、私たちは、自分たちがこれまで築き上げてきた「科学」の正体、「科学」は過去、何のためにあったのか、現在、何のためにあるのか、未来、何のためにあるべきなのかを問い直す必要がある。
10年前 、上記の禁断の科学裁判の振り返りをする中で作った以下の「序章、生物界の長老たちの語らい」、今これを再読し、この問い直しの重要性を痛感している。
三人の妖婆 きれいはきたない、きたないはきれい。さあ、飛んで行こう、霧のなか、汚れた空をかいくぐり。
シェークスピア「マクベス」福田恒存訳序章、生物界の長老たちの語らい
微生物は自分で細胞が分裂して増えます。人間のような死はありません。だから、微生物の中には、他の生物に食べられたり、事故に遭わずに何千年、何億年も生き長らえているものもいるかもしれません。これが真の長老です。以下はこうした自然界の長老たちの或る日の語らいです。
微生物A 「人間世界では人間には良心がある、反省する力がある。だから、問題が起きたら、そこで良心に苛まれ、反省することが可能だ。だから、ナチスの時代でもオスカー・シンドラー[1]のような人物と行動があり得た」
微生物B 「しかし、生物界では、我々微生物もタンパク質も良心はないし、反省する力もない(少なくとも今までそれは証明されていない)。だから、問題が起きても、微生物やタンパク質が良心に苛まれ、反省することは不可能だ。リベンジ(報復)も行く着くところまで行くしかない。微生物やタンパク質には、シンドラーのような行動もあり得ない。」
微生物C 「そうともさ。だから、人間どもにせめて可能なことは、我々自然界のこの残忍酷薄の真理を直視して、自然界のリベンジが暴走する前に、人間自身の良心と反省する能力を総動員して、報復が暴走する前に未然の防止に向けて、最大限可能な取組みを開始するしかないさ」
微生物A 「しかし、とかく人間という奴は、現実を直視するのを嫌がるこの世で一番厄介な生き物さ。太陽を見つめれば目がつぶれるとか言ってお茶を濁したがる」
微生物B 「そして、とりあえず目の前でパニックが起きなければまあいいかと解決をズルズルと先送りする」
微生物C 「その結果、潜伏期間30年、満を持して毒が回って、そこら中に報復が開始されてから初めて大騒ぎする。」
微生物A 「だったら、人間も微生物やタンパク質と変わらない。」
微生物B 「そうよ。単に、自分たちは微生物やタンパク質とちがって高尚な高等生物と信じ込んでいるだけさ」
微生物C 「その驕りは、人間社会の都合ではなくて、自然界の真理に従ってリベンジされるだけのこと。」
微生物A・B・C 「ざまみろ!ってことだ」
[1] 第二次世界大戦中、ナチスにより強制収容所に収容されていたユダヤ人で自身の工場で雇用していた1,200人を虐殺から救った実業家。映画『シンドラーのリスト』の主人公。
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